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「待った?」高菜は言った。
自分は早く来たつもりだが、彼は既に席に着いていた。
コーヒーの減り具合からは、だいぶ待った事が予想された。
「ああ、大丈夫。待ってないよ。それより、観たい映画があるって言ってたよね」ああ、と彼女は言った。
「光一君向けじゃないと思うけど、魔女と魔法使いって映画」
魔女は魔法使いではないのだろうか、と思ったが、彼女が観たいと言っている映画にケチをつけるのもどうかと思い、辞めた。
映画館に着くと、10時からの回のチケットを買った。
映画が始まるまで時間があるので、とりあえず別々にトイレに入った。
光一の方が早くトイレから出た。
女子トイレから高菜が出てくるのを待っていると、例の少女が現れた。
映画を観るのかな位に思ったが、すぐに映画館から出て行く。
なぜ、映画を観ないのにここにいるのかが気になり、高菜の事も忘れ、気がつくと彼女をつけていた。
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