43人が本棚に入れています
本棚に追加
さすがの怪人も
その気迫たるや
差し詰め 蛇に睨まれた
蛙である。
男の右手にあるテキーラの
栓を開けると それを
豪快に飲み干した。
女性「素敵。」
彼の男らしさに 女性は
目を奪われていた。
スネカジリ「なんて野郎だ。
あの量を一口で
飲み干しやがった。」
バーコード「中々の腕前。
でわ 私はこれで。」
バーコードライダーが
懐から取り出したのは
増毛町 國稀酒造の鬼ころし。
バーコードライダーは
栓を開けると 同じく
一口で飲み干した。
するとネクタイを首から
外すとそれを額に巻き
体勢を崩し始めた。
バーコードライダー
二十三の宴会芸の一つ
十八番 酔拳。
顔を真っ赤に染め
今にも倒れてしまいそうな程
体を傾けながら
両手を前方に構えている。
バーコードライダーの
主力だが これを使った日は
バイクに乗ることは出来ない。
奴のここぞという時の
奥の手でもある。
先手を取ったのは。
バーコードライダー。
マフラー男の一歩手前まで
瞬時に移動する。
マフラー男は
テキーラの空瓶を
バーコードライダーの
顔目掛けて振ったが
紳士靴が甲高い音を立てると
男の背後に回り込んでいた。
靴の通った跡は
コンクリートが焼け
煙が立ち上っている。
並外れたスピードである。
背後を取ったライダーは
勝利を確信する。
マフラー男の背中に
放った渾身の一撃は
中心を捕らえた。
だがマフラー男の脂肪の
弾力を貫く事は敵わなかった。
逆にその脂肪に弾かれ
遥か彼方に飛ばされ
バーコードライダーは
星となった。
スネカジリと女性には
二人の動きを目で追う事が
出来ていなかった。
状況を把握したのは
勝負の終止符が打たれ
二人の動きが止まり
バーコードライダーが
消えた後の数秒後である。
最初のコメントを投稿しよう!