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飛ばされていく最中
バーコードライダーは
それまでの自分の人生を
走馬灯のように思い出していた。
四十という若さで
妻子持ちでありながらも
会社からの冷酷なリストラ宣言。
妻からは見捨てられ
目に入れても痛くない
娘を連れ 実家に帰郷。
それからはスーツ姿で
公園でハトに餌をあげながら
ただ呆然と時間が
過ぎていく毎日が続いた。
そんな時 彼の転機となったのは
怪人軍団提督 中村からの
スカウトである。
宴会芸を武器に
世界中の人間を
嫌がらせる事を目論み
今まで尽くしてきた。
ストレスで死滅した毛根も
バーコードライダーという
名前を貰った今では誇りである。
その後 彼が何処に
飛んでいったのか
詳細を知るものはいない。
バーコードライダーが消え
スネカジリは女性を捨て
そそくさ逃げていき
女性は助けられた。
体目当てに助けたとは
口が裂けても言えない為
まず バーの中に招き
テキーラを勧めた。
一杯目はなんなく飲み干し
マフラー男は二杯目を勧めたが
女性は薄々 この男の
やましさに気付いていた。
「いえ そろそろ失礼致します。」
マフラー男のマグナムは
既にギンギンだった。
ここで見逃す訳にはいかない。
「いいから飲むんだよっ。」
マフラー男は強引に
女性の口にテキーラを
流し込もうとする。
目先に獲物がいるあまり
急いてしまい 決断を
早まってしまう。
抵抗した女性は
座っていた椅子で
男の頭をかち割った。
「くたばれ 糞野郎!」
そのまま女性は
レジから金を持ち出し
バーから逃げ去った。
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