43人が本棚に入れています
本棚に追加
宇宙に小さく その白く
輝くボディーは一見
一筋の流星を思わせる。
星屑をサーフボードで
乗りこなしていた
その一人のサーファーは
ただ地球だけを見ていた。
憧れのテキサスを
求めその目は輝きで満ちている。
"テキーラの波に乗る"
夢をかかげ 飛び出した
テキサスサーファーは
愛用のテンガロンハットに
年季の入った
"大漁"のロゴが付けられている
ビキニパンツ。
そしてサーフボード
"ジョニー"さえあれば
星屑に乗る事は訳もない。
八歳から寝食を共にしている
相棒である。ボードに
付いている傷は
テキサスサーファーとの
長い月日を物語る。
無我夢中に乗っていた
テキサスサーファーの目の前に
青く清んだ地球が
出迎えてくれた。
「青いぜ。」
彼の目の先にはテキサスの
地しか見えていない。
今度は重力に身を任せ
ボードを上手く調節している。
重力に乗るのも悪くない。
数々の"波"に乗ってきた
彼には容易である。
無意識に奏でる口笛は
自信の心情の高鳴りに
よるものである。
近付くにつれ 自分の体から
焦げた臭いがする事に気付く。
そう 彼は大気圏に突入し
焼けていた。
彼は乗りながら
あまりの熱さに悶え
一筋に伸びる赤い炎となる。
我慢できずボードの
調節に支障をきたしてしまった
彼は それにより目指していた
テキサスからは大きく
軌道がずれてしまった。
雲の草原を目の当たりに
し始めると 体の熱は
消えていたが
白かった自慢の体は
小麦色に変わり果てていた。
雲を突き抜け 顔を出したのは
海に囲まれた 和国 日本である。
"ここがテキサス。"
彼の心は感動に打ち震えた。
最初のコメントを投稿しよう!