「テキサス革命」

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 軌道がずれている事に 気付いていない テキサスサーファーは 多少の疑問を持った。 「妙に小さい 地図と違うな。」 最初に見据えていた 地形とはかけ離れていた為 少し頭を抱えたが 浅はかな彼は その疑問を直ぐ様捨て去った。 「いや ここだ。」  彼は両手を広げ 青い海に小さくキスをした。  移動速度を早め まず 地球の海を堪能する事にした。 日本海の上空で 指を弾き パチンと音を 立てると 大きな津波が 現れた。 タイミングを合わせ ボードと波を出会わせた。 「テイクオフだ。」 数秒でご機嫌を伺い 彼は逆に海のうねりを てなづけたのだ。 波を切り裂き 小さな飛沫 一つ一つは 彼の顔を写し出す。 帯のように長い波は まるで彼を誘う 波のレッドカーペットである。 見事ご招待を受けた彼は 波との戯れを楽しんでいる。  その時である 波の音の 隙間から 絹を裂くような 女性の悲鳴を 彼は 聞き逃さなかった。  辺りを見渡すと 一台のクルーザーの 付近に一人の女性が 何かに追われていた。  海からヒレをあらわにしている 一見鮫である。 必死にクルーザーにいる 男性に助けを求めているが 他の女性とのファックに 夢中で気付いていない。 ヒレの主は 女性の周りを 迂回し始める。 徐々に距離を詰め始め 女性は死を覚悟した。
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