それは今にも消えそうで

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(確かに彼は出会った時から少し可笑な性格だったが、) 「何してるんさ!?」 ラビはキッチンに居る白髪の少年に話かけた。 白髪の彼は作業する手を止めて、此方を向いた。 「何って、試食、ですけど?」 彼は怪訝そうにそう言った後すぐに、再び後ろを向いて作業を始めた。 「いや、さ?アレン?」 試食って、それを? 「そうですけど。」 何か文句あるんですか?もぅうるさいですよラビ! 今僕は生きるか死ぬかの瀬戸際に居るんです、 邪魔するなら出てって下さいよ!! 彼は冷たくそう言い放った。 彼-アレンはキッチンで熱心に何かを作っていた。 蛇口や床には無残にも 赤、青、黄色、水色など、何色かの絵の具が、きれいなまでに飛び散っていた。 そしてアレンはいくつもの絵の具を混ぜ合わせたその皿の中に、更になんとリキュールを足して、スプーンで混ぜ始めた。 「それを食べるの!?」 誰が!?そう慌てて問いかけると、アレンは 「もちろんラビが。」 とにっこりと応えた。 やばいやばいやばいさー!! 「俺 未成年っ!!」 そう言いラビが走りだすと、アレンが絵の具とリキュールを混ぜた皿を持って追いかけて来た。 「いつもガブガブ飲んでるじゃないですか!」 だだだだだだだだだだ、 階段をもの凄い勢いで駆け上る。 ちょっとまじ本当にやめてー!! いくら俺でもさすがにソレ飲んだら死ぬんじゃない!? 「ラビならきっと大丈夫ですよ」 「んな訳あるか!」 だだだだだだ、だん! 廊下の突き当たりまで走った所で、ラビはアレンに捕まってしまった。 「すみませんすみません!!何か恨みがあるならちゃんと聞くからそれだけは辞めて!!」 ね、アレン?昨日頼まれた課題のレポート手伝うから!! ラビが座り込んで両手を合わせながらそう言うと、アレンはにっこりと笑った。 「結構です。」 次の瞬間、ぐい、とアレンはラビの顎を持ち上げ、何色もの絵の具を混ぜ合わせたその黒色のような液体を、迷わず口の中にぶち込んだ。
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