それでも いいのかな、。

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ぶーんぶーん …空に、 窓から心地よい日差しが差し込むある日の午後、白髪の少年は課題である油絵を終わらせるため、ただひたすらに絵を描き続けていた。 大きな窓は、油彩のつんとする臭いを流すため、半分ほど開かれていた。 ぶーんぶーん 彼の背丈(ただし座って居るときの、)ほどあるキャンバスには、白くて小さな小綺麗な家、周りには空さえも遮る大きなみかん畑が広がっていた。 ぶーんぶーん… 少年ー…アレンは、何色もの色が重なっているパレットをかたんと床に置き、白い絵の具が入れてある小皿を手に取った。 大きめな筆を小皿の中に突っ込み、丹念に白い家の外壁を描いていく。 ぶーんぶーん ふと、アレンは筆を持つ手を止めた。 ぶーん。 「…もうっ!」 アレンは足元に置いておいたパレットを蹴り飛ばし、先ほどからずっと耳障りな音を立てているソレに近づいた。 バチン!! アレンはソレが止まって居た壁の、ソレが居た場所とは少し離れた部分をわざとねらい、思いっきり素足で蹴った。 ドカン!! ぶ~ん… 小さなソレは、急ぐようにして窓のある方向へと逃げていった。 「…痛」 つま先が感覚をなくしながら、どくどくどく。と脈打っているのが分かる。 アレンはしばらく床に座り込み、5分ほどしてからゆっくりと立ち上がり、再びキャンバスの前へと戻った。 さっき自分が蹴ってひっくり返してしまったパレットは俯けになり周りにも絵の具が散乱していたが、アレンは気にすることもなくその上へどかっと座った。 小皿を取り、白い絵の具を足す。 その上に黄緑を少し混ぜ、アレンは筆で乱暴にかき混ぜた。 キャンバスに視線を戻し、再び家だけ何回も何回も塗りつぶしていく。  ぶーん ふと、またあの物体が目の前に近づいて来た。 アレンが振り払おうとした瞬間、ソレは薄黄緑色の家に止まった。 バチン!! …………………………… ガチャ、 「ただいまーアレン! …アレン?」 橙色の少年が部屋へと入ってきた。 両手には晩ご飯やらなにやらに使う食材がどっさりと詰め込まれた袋が掛けられていて、先ほどまで買い物に出ていたんだろうということが分かった。 「それって家、?」 ラビは両手の荷物をどさりと床に降ろし、アレンに話かけた。
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