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散々嫌がったリクだったが、実際にハスノと2人で術前の出場が決まると、生来負けず嫌いで凝り性な性質が発揮された。
人生は楽しまねば勿体ないと彼は信じているし、事実そう行動するようにしている。
「ついに今日ですね、リク」
「まあ、あんだけやったんだから、上手くいく……はず」
わざとらしく拳を握り、リクはそう言って笑顔を作った。ハスノはつられて笑っていた。
「はーい、いちゃいちゃしなーい」
リクとハスノの間に顔を滑り込ませてきたのは、チハヤだ。
面倒な気持ちもあり、自分で術前にならないようにしたが、彼女は後になって気付いた。リクと2人きりの時間が確保されるのだと。
それからというもの、歯噛みする気持ちで、仲良く触れ合う2人を見てきた彼女の精神は、穏やかではなかった。
「も、もう出発の時間ですか?」
「前の集団はもう行ったわ。あたし達も行きましょ。
いざ、東領!!」
「「おー!!」」
「……行こう。他クラスが冷たい目をしている」
イスラにそう言われて、皆が周りを見渡すと、確かにAクラスで残っているのは彼女達4人だけだった。あとはもうマブチの描いた陣によって、目的地へと転送されているのだろう。
メレンはいまだ意識を回復せず、テルシアも学園を離れたきりになっている。
幾許かの寂しさは禁じ得なかった。
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