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「悪いことは言わないから、学校に通えよ」
「いいよ。それだけ?」
「えっ…」
「総長さんのおっしゃる通り」
「ちょ」
「じゃあ帰って支度するから。詳しい事は」
「待てって!」
危うく立ち上がって帰ろうとする-JOKER-を、慌ててジンが引き止める。何にせよ、予想外の事態だった。
「理由とかあんなんでいいの!?
なんかさ、『はあ?なんで俺が学園に?』とか…『ちゃんと理由を説明しろよ!』みたいな、定番のリアクションは?」
「相変わらず面倒くさい。何?聞いてほしいの?」
「なんだ、やっぱり聞きたいんじゃないか。詳しく教えて欲しいんだろ?いやー、本当に面倒のかかる」
がつんと容赦のない音。-JOKER-による、腰を入れた右拳のショートフック。半円形の綺麗な軌道で、こめかみの辺りを打ち抜いた。
それは総長のセリフを遮り、彼を後頭部から床に着地させる。
「訂正。前より面倒くさくなった。歳かね?」
台詞だけ見れば不快さの発現ではあったが、そう言いつつも、込み上げたジンへの親しみと愉快さは、彼の唇の端を押し上げていた。
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