第一章

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「悪いことは言わないから、学校に通えよ」 「いいよ。それだけ?」 「えっ…」 「総長さんのおっしゃる通り」 「ちょ」 「じゃあ帰って支度するから。詳しい事は」 「待てって!」 危うく立ち上がって帰ろうとする-JOKER-を、慌ててジンが引き止める。何にせよ、予想外の事態だった。 「理由とかあんなんでいいの!? なんかさ、『はあ?なんで俺が学園に?』とか…『ちゃんと理由を説明しろよ!』みたいな、定番のリアクションは?」 「相変わらず面倒くさい。何?聞いてほしいの?」 「なんだ、やっぱり聞きたいんじゃないか。詳しく教えて欲しいんだろ?いやー、本当に面倒のかかる」 がつんと容赦のない音。-JOKER-による、腰を入れた右拳のショートフック。半円形の綺麗な軌道で、こめかみの辺りを打ち抜いた。 それは総長のセリフを遮り、彼を後頭部から床に着地させる。 「訂正。前より面倒くさくなった。歳かね?」 台詞だけ見れば不快さの発現ではあったが、そう言いつつも、込み上げたジンへの親しみと愉快さは、彼の唇の端を押し上げていた。
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