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総長の首をねじ曲げた本人は、一向に気にする様子は見せなかった。むしろ、慈父の微笑みさえ浮かべて、部屋の扉に手をかけた。
「それはそうと、今俺ほぼ無一文だけど。それでもいいの?」
驚きで屍のように倒れていた総長が、器用に首の力で跳ね起きた。不自然な動きが低予算で作られたホラー映画のようで、気味が悪い。
「いや、学費は出すから心配すんな。奨学金的なものもあるから。
でもな……お前億単位の金あったろ?何が起きたら使い切れんだよ」
「へへ」
「へへ、じゃねえよ!金の大切さ分かってんのか、お前は!いいか、金を稼ぐってのは大変な事でな」
一瞬、-JOKER-がふと真剣な面持ちになる。不意の表情に思わずジンが戸惑ったところに、彼はするりと話を滑り込ませていく。
「あのー、なんて言うか、気付いたら消えてたよね」
「お前な、資産運用では」
「はいはい、っつうか二言目には金が云々。老いた、めっきり老いてしまった。汚れちまつた悲しみに、ってね」
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