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「あの子のこと好きなんでしょ」
答えられずに黙り込む俺を極限まで追い詰めたいらしいマキは一層怒りのこもった声で問いただす。
もちろん俺は答えられない。
「ねえ」
なお黙ったままの俺にマキの少し篭ったメゾソプラノが催促する。
「好きじゃないよ」
逃げるように早口で言ってコーヒーに口をつけた。
もうこれ以上咲のことに触れないでほしい。
十何年間偽ってきた気持ちをもう汚したくない。
嘘をつくたび、咲まで汚してる気がして…
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