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そう思ってゆっくりとコーヒーを飲んでいると不意にテーブルの上の携帯が鳴り始め、バイブレーションの重低音が腕に伝わった。
ディスプレイにはよく知った友人の名前。俺とマキを出会わせた張本人だ。
「…もしもし」
「おー、シン!今日飲み行こうぜ」
いつもの調子で出ると向こうもいつもの調子だ。明るい誘いが入る。
「今日はちょっと、な」
飲みながら話したいこともたくさんあるが、今日はこのあとすぐ帰って咲との時間にするつもりだったのでやんわりと断りを入れる。
「なんだあ、マキちゃんか?マキちゃんも呼べよ。久々に3人で飲もうぜ」
「いや…」
「なんだよ、たまには俺も入れろよなあ」
俺がいつまでも渋ってるもんだから、おどけてなんとか飲みの約束をとろうとする。もう俺は会うことはないだろうマキの名前を出して…
ここまできたらこの電話口で説明しないといつまでたっても誘いを免れそうになかった。
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