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咲への思いを小さく小さく折りたたんで心のすみにしまう日々。
あれは俺が高2、咲が中3の冬だった。
咲は元女子校で次年度から共学化される高校への進学を希望していたのに、あいつの両親はそれを反対。
無理矢理、規律厳しい寮制の男子校に入れようとした。
これには温厚な咲も我慢がならなかったらしく、両親とそれはそれは大決戦をしたらしい。
けれども虐待を受け、満足な飯も与えられず、スポーツ経験もないあいつに大の大人2人がかりでは勝てっこない。
家にきたときには目も当てられないほど顔、体、いたるところがいつも以上に不気味な色をして腫れ上がり、座っているのも辛そうだった。
そしてなんでもない風に、いつもの笑顔で
「ぼく、進学しないで家出るから」
という一言を俺に浴びせた。
それからほどなく、
・勉強を疎かにしない
・家賃は自分で払う
という条件でうちの両親に手はずを整えてもらい、咲と2人で住むことになった。
夢のような日々が実は我慢の連続だとは咲は未だ気付いてないのだろう。
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