空に咲う

それぞれの思いⅠ

｢…ねえ｣

頼み終わるとマキはコーヒーカップを置いて口をひらいた。
なにか重たそうな話だ。

｢ん?｣
｢あたしのこと好き?｣

コーヒーカップに手を置いたままにっこりといつもの幼い笑みを浮かべて小首を傾ける。

俺は驚いて思わず目を見開いた。
マキは好きとか愛してるとかいう言葉をせがむ女じゃない。
だから俺はそういうことを言ったことがないし、マキからも聞いたことがない。
だからこそ彼女との付き合いは今までで一番と言っていいほど精神的に楽だった。

どう答えようか迷っているとき、ちょうどよく頼んだコーヒーが運ばれてきた。