それぞれの思いⅠ

9/16
前へ
/82ページ
次へ
「…何?いきなり」 ウェイトレスが一礼をして去ったあと、熱いコーヒーをすすりながら苦笑を浮かべる。 この店のコーヒーは熱いうちがうまい。 「答えてよ」 マキの顔から先程の笑みはとうに消えていて、きっとした瞳できつく言う。 「…好きだよ」 「うそつき」 今まで見たことのないマキの表情に怯みつつ、それを悟られないようにまたコーヒーをすすりながら目を反らして言う。 目を見ては、とてもじゃないけど言えるわけがなかった。 そんな態度を見てか、俺が言い終わるか終わらないかのうちにうそつき呼ばわりされた。
/82ページ

最初のコメントを投稿しよう!

17人が本棚に入れています
本棚に追加