#1 もしも彼が生きていたなら

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「ここは“もしもの世界を体験できる”仮想現実研究所だ。 君は彼女に連れられここにやってきた」 「…なんで?」 「君は自殺願望があったからだよ。だから私は“もしも君が自殺したら”の世界を見せたんだ」 まだ頭がボーっとしている。 手首を見ると、生々しい傷がいくつもあった。 そうだった… 俺は…死にたかったんだ… 料理人になりたくて、厨房でバイトをしだしたが、全然うまく行かず…限界を感じた… だけど、弱いところを見せたくなかった… 作り笑いで毎日を過ごしていて… 気付けばビルの屋上に… 「さ…体験はお終いだ 外で彼女が待ってるよ」
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