#2 それでも老婆は待っている

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二階、部屋の真ん中で僕はお爺ちゃんの写真を眺めていた。 写真の中のお爺ちゃんは笑っている。 お爺ちゃんに会えなくなってもう何ヵ月経つだろう… 僕は写真を机にしまい、部屋を出て階段を下りた。 居間に続く廊下を歩いていると、仏壇のある部屋から僕を呼ぶ声がした。 声の主はお婆ちゃんだ 「敏郎…敏郎ぉ」 僕は襖を開け、中を覗いた。 するとお婆ちゃんが僕を見つめながら言った。 「お爺さんはいつ帰ってくるのかのぉ?」 …いつもの事だった。 お婆ちゃんは僕を見つける度にそう聞いてくる。 そして僕は いつものように答える。 「お婆ちゃん… もう…死んだんだよ」 …と
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