姫と朱無姫―アカナシヒメ―

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クラスメイトが騒ぎ始めて数秒(早っ?!) 「姫を泣かす、愚か者は、私の姫を泣かす罪人はどこじゃぁっ!!!」 閻魔様が吠えるような(どんなだろう)声が、クラスに響く。 ポニーテールとなった黒い長髪をたなびかせ、背中には竹刀を担いだ少女が駆ける。 その子は僕の前まで来ると、ザッと片膝を付き、騎士のように頭を下げる。 「申し訳ございません姫! 飲み物を買いに行っている僅かな隙にこのような失態を!」 沈痛な面持ちで僕に謝る彼女は桐間王妃(キリマオウヒ)僕はひーちゃんって呼んでる。 僕の護衛だ。 うん、物凄く現実離れしてるよね。でも本当なんだ。 説明は今は出来ないや、だっていつの間にか竹刀で男子二人を気絶させてるんだもん。 今は何故か十字架に張り付けにする作業をクラスメイトとしている。 止めなきゃマズい。 「ひーちゃんストーップ!」 後ろからひーちゃんを羽交い締め……は出来ず、背中に飛びつく形で止めにかかる。 しかし、ひーちゃんは一切動じず作業を先程より早く進める。 あれ? もしかして逆効果!?
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