おしゃれ と サムライ

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かなり読み込まれた痕があるその雑誌は、アイコもメイク方法を勉強するためのバイブルにしたらしい。 …ありがとうアイコ、大切に読ませてもらうからね! 「これも貸してあげる」 次にアイコは、部屋の隅に置かれていた段ボール箱の中から何冊か本を取り出す。 手渡されたそれは、マンガの単行本だった。 生き生きとしたキャラクターの顔が表紙に大きく描かれたそれは、まさしく少年マンガ。 アタシは、おしゃれで綺麗なアイコが少年マンガを持っていることに驚いた。 「これ、スゴく面白いんだっ!! 是非ともハナちゃんにも読んで欲しいでござるっ」 ふぅん、と、言いながら、アタシはパラパラとマンガのページをめくってみた。 ストーリーは、タイムスリップしてきた江戸時代のサムライが、現代の少年に心酔し、その少年を主人と呼び、ハチャメチャな騒動を巻き起こす定番のコメディ・マンガだった。 …ん? ふと、アタシはページをめくる手を止める。 マンガの中の、サムライの語り口調が、アイコの喋り方にそっくりな事に気が付いた。 「面白いでしょ? 拙者、そのマンガ大好きなんだぁ。何気に美形ばかり出てくるし。他にも続きあるから、好きなだけ持って行って」
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