新たなる出会い

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 挨拶は済んでいるのだから、もう用はないとでも言っているようです。  王とジュリアスが無言の対峙をしている間に王妃が立ち上がり、エドゥアールの前に歩を進めました。 「エドゥアール、と呼んでも?」 「はい、王妃さま」 「……」  王妃もまた、エドゥアールの中にかつて娘と呼んだエレーヌの面影を探していました。 「…本当に、よく似ていますね」 「恐れ入ります」 「…抱きしめても?」 「王妃さまがよろしければ」  エドゥアールは王妃の申し出を快諾します。  王妃は壊れ物を抱きしめるように、そっと腕を回しました。 「エレーヌを愛してくださって、ありがとうございます」 「……」  王妃は腕を解くと、エドゥアールを見上げました。 「…何故そう思うのです?」 「私を…正確には私の中に捜していらしたエレーヌを見つめる眼差しが温かく優しいものでしたので」 「ええ、そうね…。私の新しい娘は、この国のすべての者に愛されていましたよ。…セリシン王妃はお元気でいらっしゃる?」 「はい、お陰さまで」  答えるエドゥアールをもう一度抱きしめて、王妃はジュリアスに向き直りました。 「ジュリアス。案内をするのは構いませんが、まずはその支度をどうにかなさい」 「もちろんそのつもりです。俺が着替えている間は婆やと話をしてもらうつもりです。きっと婆やも喜ぶでしょう」 「そうですね。それが良いでしょう」 「王妃!?」 「…何か?」  勝手に話を進める二人に王は慌てましたが、王妃の冷たい視線に口を閉ざしました。 「…エドゥアールよ。ここを自国と思いゆるりと過ごされよ」 「お心遣い感謝いたします」  エドゥアールは王の言葉に深々と頭を下げました。  そして従者を伴い、ジュリアスの先導について行きます。 「そちらの従者殿のお名前は?」 「…ルドルフと申します」 「……」  エドゥアールが答え、半歩後ろを歩く従者は軽く頭を下げました。 「セリシンに何度か通ったが、初めて会うな。元々エドゥアールの従者なのか?」 「いえ、今回のことがあったからです。従者というか保護者というか…、まぁ世話をかけています」  エドゥアールが苦笑しながら答えます。  ルドルフが何も言わないところをみると、世話をかけているのは事実のようです。
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