新たなる出会い

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「…誰の所為だ」  ジュリアスはエドゥアールの手に自分の手を重ね、言葉よりもずっと甘やかな口調で囁きます。  眼差しにも愛しさが溢れており、エドゥアールは戸惑いを隠せません。  思わず目を伏せると、ジュリアスが優しく囁きました。 「…顔を見せてくれ」 「……」  そう言われてしまっては、顔を上げないわけにはいきません。  エドゥアールは意を決して顔を上げ、ジュリアスと目を合わせてドキリとしました。 「……会いたかった」  言葉から、眼差しから、愛しいという思いが伝わってきます。  勿論、その思いに応えることはできません。 「……」 「エレーヌ…」  何も言えずにいると、ジュリアスが名を呼び、啄むような口付けを落とします。 「ジュ…────」  非難の代わりに名を呼ぶことで咎めようとしましたが、言葉は口付けによって封じ込められてしまいました。  エドゥアールの意を無視して口付けは深められ、思うように息をすることもできません。  口付けられたまま抱き寄せられてジュリアスの足を軸に体の向きを変えられたかと思うと、ジュリアスに押され、自然と後ろに下がらざるを得ませんでした。  どこに連れて行かれるのかと思ったのも束の間、足が何かにぶつかり、ジュリアスと共に後ろに倒れ込みました。  衝撃は柔らかく受け止められ、軋んだ音を聞きながら、そこが寝台なのだと理解し、エドゥアールは焦りました。 「ジュ、ジュリアス…!」  慌ててジュリアスの体を押し返そうとしますが、ジュリアスは上から体重をかけて逆にエドゥアールを押さえ込みます。 「ル、ルドルフ…」  情けないけれども、自力では逃れようがないと判断したエドゥアールは、従者に助けを求めました。 「…他の男の名を呼ぶとは、けしからんな」  ジュリアスはすっと目を細めてそう言うと、噛みつくように口付けました。  隙間から無理矢理こじ開け、逃げるエドゥアールを追い立てて熱を絡ませます。  そしてそれは、エドゥアールの体から力が 抜けるまで続けられました。  ゆっくりと体を起こし、自身の唇を舐めながらエドゥアールを上から眺める姿は、さながら獲物を押さえつけた肉食獣のようです。 「…ジュリアス。…私は、エドゥアールです」  荒い息を懸命に整え、エドゥアールは目を逸らすことなく言いました。
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