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意見、質問を送ってきたのは、買った客の内、どちらでもなかった。
まだ、薬を買っていない3人目の客だった。
「『ピュンキエル皇帝カプセル』の件ですが、私は今日、注文をしたのですが、販売を控えると言うことで断られました。広告とは異なる事実ということでしたが、どこがどう異なるのか教えて頂けませんか?本当に『立たなくなる』薬があるのでしたら是非、売っていただけないでしょうか。」
何度読み直してみても、この客が求めているのは『立たなくなる』薬だ。発情するか否かは関係なさそうだ。
しかも、かなり切実に薬を求めているようにも思える。
すぐさま俺は、送り主への返答メールを送った
「ご意見、ご質問ありがとうございました。当社は、例の薬を、立たないイコール発情しないと、勝手な当方の結び付けにより、受験生に向けて発売いたしましたが、それは間違いであったため、販売を自粛させて頂きました。『ピュンキエル皇帝カプセル』は立たなくなるだけの薬であり、理性を抑える薬ではありませんでした。広告に偽りがあった事、深くお詫び申し上げます。まことに申し訳ありませんでした。尚、それでも『立たなくなる薬』としてお買い求めいただけるのであれば、喜んでお譲りいたします。」
これで明日、「買う」と返事がくれば、それは正にこの薬の使い途を見つけた人なのであろう。
売る側に使い途がわからない商品を、買い求める客がいるとは不思議な感覚だ。
何に使うつもりなのか是非教えてもらいたいものだ。
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