薬の使い途

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「あらっ、お帰り。はやかったのね?夕食の準備まだなのよ。」   俺は妻に内緒で、少し驚かせてやろうと、手みあげを買って早めに帰ってきた。   しかし、予想外の来客が、俺の家族サービスの邪魔をしたのだ。   「でも、ちょうどよかったわ。前に、あなたが言ってた、あの、少し変わった薬あったでしょ?アレって商品化したの?」   妻は、俺の心づもりを察することなく、帰ったばかりの俺にその話をもちかけた。   「実はね、こちら、前に話してた伊達さんの奥さんなんだけど」   妻がそういって俺に紹介した来客が、かるく頭をさげた。   俺もそれを見て、かるく会釈だけした   前に話してた?   なんの話だっただろうか?   何も答えず頭を巡らす俺に、妻はお構い無く話つづける   「やっぱり、旦那さんの浮気は本当だったらしいの」     ああ、あの話か、と、やっと思い出したが、それとあの薬となんの関係があるのかわからない。     「でね、あの薬の話をしたら、是非欲しいと言い出したの。実際に商品化したのかどうなのか、私わからないから旦那に聞いてみるって言ったんだけど、ちゃんとした商品じゃなくていいから有るなら買わせて欲しいって言ってあなたの帰りを待ってたとこなの」     妻の言っている意味の半分くらいしか理解できない。     旦那が浮気をしている。   だから薬がほしい。   これをどう繋げればいいのだろうか。
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