薬の使い途

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「ねぇ、あの薬、譲ってあげられる?」   妻が理解していない俺を無視して話を進めようとする。     「ああ、あれは一応うちの会社で取り扱っている商品だから、売ることはできるが・・・何に使うの?」     「だから、旦那さんに飲ませるんじゃない。」   妻は平然と答えた。     「え?浮気をやめさせるために?」     「そうよ。一番の方法だと思わない?」   妻の提案に少し、戸惑ったが、確かに、それで浮気は出来なくはなる。   しかし、立たないから出来ないと言うだけのことだろうと思う。   「それで、浮気をしなくなるのか?あれは物理的に立たないだけで理性が抑えられるわけじゃないんだぞ」   そう、飲んで立たないから行為が出来ないというだけで、浮気をしないとは言えない。逆にその反発の方が心配な気もする     しかし妻は、   「それでじゅうぶんなのよ。毎朝、出かけるときに飲ませれば絶対に何も出来ないでしょ?出来ない男を誰が相手するの?そのうち相手の方から去っていくわよ」     女とは怖く冷静な生き物だ。     女とはそういうものだと言い切れるのは、やはり女の思考なのだろう。     「毎日飲ませるのか・・・辛いな」   思わず溢してしまった言葉に妻が食いついてきた。     「浮気をしないなら、外で立たせる必要ないと思うけど?それが辛いの?」     「いやいや、そういう意味じゃないさ」     これ以上話していると、こっちまで疑いをかけられそうだと思い、明日、持って帰ってくると約束をして伊達さんを送りだした。     なるほど、そういう使い途があったか・・・   しかし、旦那は毎日ちゃんと飲むのだろうか。     複雑な気分だった。   この使い途に光が見えたかもしれないが、それはそれで厄介なものを世に広めることになるかもしれない。  
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