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とにかく、三浦に話してみるしかない。
「それはおかしいな。考えうる欠陥はないはずだが・・・しかも、ついこないだまでは、リピーターだけでも相当な売れ行きだったはずなのにな。」
三浦にも、原因はわからないらしい。
「客が減ったというだけで、いなくなったわけじゃないだろ?値段が高すぎるから買い続けることが出来ないのかもしれない。もう少しすれば、値段を半分にしても今まで通りの利益は得られるようになる。そうすればまた客が飛び付いてくるんじゃないか?」
三浦の意見も間違いではないと思うが、どうも納得がいかない。
「耳にする話では、飲んでる人間の数が減っているとは思えないんだ、むしろ増えているとも思えるくらいなんだが」
俺は、感じる違和感をそのまま口にした。
「まさか・・・」
三浦が何か思い当たったように考えこんだ。
「何だ?何か気づいたのか?」
「いや、まだなんとも言えないよ」
「何かあるなら言ってくれよ」
俺は会社を挙げて大量生産に金を注ぎ込んでいる。
解らないまま客がいなくなったじゃ済まされない。
「いや、もう少し様子をみよう。きっと大丈夫だ」
三浦の言葉尻からは何か確信めいたものが感じられた。
三浦がそう言うのだから大丈夫なのだろうと思える。
これが俺たちの信頼関係なのだろうか。
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