4年前

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引越しが済んで1ヶ月がたち、渋谷の路上でギターを片手にケンタは歌っていた。 まだ足を止めて聞いてくれる人も少なく、ファンと呼ばれる人も1人しかいなかったが、何より東京で音楽をやれていることが嬉しかった。 「ケンタ!」 ちょうど一曲歌い終わった時にシュウが声を掛けてきた。 「兄ちゃん!?今日は学校休みなの?」 「いや、今日は課外授業、外で映像を撮ってくるんだよ」 そこまで話したところでシュウはケンタの前で座る10代後半の女の子に気付き、声を掛けた。 「こんにちは、ケンタの歌を聞いてくれてありがとうね」 「あ、お兄さんですか!? わ、私エリって言います! こちらこそいつもありがとうございます!」 突然声を掛けられ、顔を真っ赤にするエリを見てシュウはまたニコニコと笑い、ケンタにそっと耳打ちした。 「可愛い子だな、彼女になればいいのにな、」 「うるさいよ!映像撮るんだろ!」 「ハイハイ」 シュウはまたニコニコ笑い、駅へと歩いて行った。
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