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「で、コツは?」
「ん~……ない!」
再度問いかけた如月に、龍牙は楽しげに答えた。
奇妙な沈黙が俺達を包み込む。
って、俺関係ないよな。
できればこのカオスな状況から抜け出したいんだけど……。
やがて、如月が歯軋りをこらえて言った。
「……コツは?」
「だからないって。
実力だよ、実力。
または才能、努力。
だいたい楽して使えるようになろうって考えが甘いんだよ。あそこの三人を見てみろ。黙々と練習してるだろ?
お前はそんなだから中級魔法の詠唱破棄にも時間かかったんだよ」
言いきった龍牙は気付いていないだろう……。
背後で邪悪なオーラを放っている鬼……いや、悪魔……これも違う。
魔王。そう、魔王に。
「……ねぇ、神城」
え?俺!?俺にふるなよ!!
「……どうした?」
とは思いつつも返事をしてしまう自分が情けない。
そんな俺の心情を無視して、如月は口を開く。
「このバカを二度と喋れないようにボコっていいわよね?
いっそのこと、この世から消してやろうかしら。
そうよ、それがいいわ。地球の為にもこのクズは消すべきなのよ!」
言いきった後、息を荒くして俺を見る。
これ賛成しなきゃ俺が死ぬ雰囲気!?
そう思った俺は、自然と口が開いていた。
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