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咄嗟に使った詠唱破棄。
だが俺の周りに光のドームができることはなく、無情にも失敗という現実が突き付けられた。
ヤバいヤバいヤバい……。
焦りでうまく動かない頭を働かし、なんとか考えついたのが初級魔法。
「【光壁】!!!」
目の前に展開された光の壁は、頼りないながらも精一杯輝いていた。
だがおかしい。いつまで経ってもくるべき衝撃がこない……。
恐る恐る魔法を解くと、俺に向かって片手を突き出して突っ立っている間抜けな如月が視界に入った。
あの様子だと、アイツも失敗したな。
ふぅ~、助かった……じゃなくて!
「おい如月!!危なかっただろ!!!」
「お、おかしいわね……じゃあもう一度……ん?どうしたのよ?」
俺はいつの間にか如月の目の前に移動していた。
そして軽く突き飛ばす。
「痛いわね……って、ちょっと!アンタ何してんのよ!?」
尻餅をついていた如月が、俺を見て焦る。
何故なら俺がさっきと同じことをしてるんだからな。
「そうだな。今度はお前を的にしてもう一度やろうか」
俺はニヤリと笑って如月を脅す。
本気でやるわけないだろ。
そんなことしたら俺の人生は今日で終わりだ。
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