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「後で……教えてくれ……!」
龍牙はそう言って、力無く親指を立てる。
だがコイツは気付いていない……
今にも魔王の鉄槌が下されようとしていることに。
とりあえず、
「龍牙……死ぬなよ!」
俺は心の中で手を合わせた。
その瞬間、魔王の鉄槌が下る。
如月は龍牙の側頭部を蹴り上げ、一瞬で意識を刈り取ったのだ。
ってか、それはヤバいだろ……
下手したら首が変な方向に……
恐ろしや、魔王!!!
「さて……これでこのバカへの制裁は終わったわ」
嫌な予感とは的中するもので、如月の視線は俺に向けられた。
蛇に睨まれた蛙……
その言葉程正しいものはないだろう。
背中に嫌な汗が流れ、足が震える。
やがて、立つことすらできずに尻餅をつく。
「か・み・し・ろ?
いつ私の下着を見たのかしら~?」
「あ、あなたが尻餅をついていた時です!」
あまりの恐怖に、声が裏返ってしまった。
今になって、からかいすぎたと後悔する。
しかし!
「でで、でも!
絶対に怒らないって誓ったよな?」
そう。俺には最強の盾があるのだ。
これで如月は攻撃できまい――
「ごめんね。忘れちゃった!」
「ぎぃゃぁぁぁぁぁぁぁ」
最強の盾は、惚けるという最強の矛に貫かれ、俺の意識は深い闇へと堕ちていった。
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