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「まぁまぁ、落ち着こうよ」
しかし翔はポンッと俺の肩に手を置く。
その表情が笑顔なのは、実は楽しんでるからじゃないんだろうか。
可愛い顔して裏では腹黒かったりして……
――ピンポーン
そんな考えに終止符を打つかのように、機械的な音が部屋に響いた。
「宮世か?」
「たぶんね」
とりあえず待たせるのは悪いと思った俺は、玄関へと急ぐ。
「やっほ~、お見舞いに来たわよ……って、案外元気そうね」
扉を開けて目に入ったのは、案の定宮世だった。
そして……
「よぉ、光輝……」
引きずられるようにして襟元を掴まれているのは、同じ境遇を体験した龍牙だ。
「あ、あぁ。とりあえず入れよ」
いったいどうしたらこんな構図になるのだろう。
そんな疑問を抱くも、俺は苦笑しながら2人を部屋に入れた。
「遅かったな」
「えぇ、このバカがなかなか起きなくて」
彩華の問いに宮世はそう答え、ようやく掴んでいた手を放した。
当然、いきなり手を放された龍牙は倒れていく。
やけにゆっくり感じるその動きを目で追っていると、鈍い音が響いた。
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