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「それで、用件は?」
その言葉に、少し緩んでいた如月の顔が強張る。
妙にそわそわしてるし、さっきから目も合わせようとしない。
「えっと……」
そこでココアを一口。
「昨日のこと……なんだけど……」
最後の方はギリギリ聞き取れるぐらいの大きさ。
いつもの強気はどこへいったのやら。
それに昨日のことって……風邪のことだよな。
「まさか風邪ひくとは思わなくて……その、ゴメ――」
「まぁちょっと待てよ」
そこで俺は如月の言葉を遮った。
そのせいか、如月の表情は少し怒っているように見える。
「何よ?」
いや、怒ってるな。
「確かにお前のせいで風邪をひいたし、学園も休んじまった。
でも元はといえば俺があんなこと思い付いたからだろ?
だから今回はお互い様ってことで終わりにしないか?」
俺の提案に、如月は納得いかないような顔をするも、
「ア、アンタがそう言うならそれでいいわよ。
今更なしって言ってももう謝らないから」
そう言って、フンッとそっぽを向く。
やれやれ……宮世も大変だな。
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