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「さっ、早く行って片っ端から誘いまくるわよ!」
そう言うや否や1人で教室を飛び出していく宮世。
なんであんなにやる気なんだろう。
「唯は元気だな。私はあのテンションについていけないよ……」
「彩華か。なぁ、なんで宮世はあんなにやる気なんだ?」
その返答までに、さほど時間はかからなかった。
「唯はずっと楽しみにしてたからな。中学の頃は見てるだけだったし、こういう行事が大好きな性格なんだ」
「へぇ~」
正直、意外だ。
宮世はおとなしくて、しっかりしているお姉さん系だと思ってたのに……
「俺、みんなのこと全然知らないな……」
「それは仕方のないことだ。
でも時間はまだまだあるだろう?
これから少しずつ知っていけばいいさ」
温かみのある彩華の言葉に、2つの感情が沸き上がってきた。
純粋に嬉しかったこと。
そして、悔しさ……
もしもっと早く魔術師になれていたら……
もしもっと早くコイツらに出会っていれば……
そんな仮定ばかり想像してしまう。
だがそんな考えは、アイツらの声に吹き飛んだ。
「何してんだよ、早く行こうぜ!」
「唯が待ってるよ」
「早くしなさいよね!」
そうだな。過去を悔やんでも仕方ない。
彩華の言う通り、これからだ。
「行こうぜ、彩華」
「あぁ」
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