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「ダメだ……」
あれから目に止まった人に手当たり次第声をかけたが、1人も見つけることができなかった。
やはり現実はあまくない。
「はぁ……」
ため息と共に辺りを見回すと、やたら座り込んでる人が多い。
何で……?
そう思った俺だが、その疑問はみんなの手元を見て解くことができた。
「あぁ、昼飯か……」
時計を見れば時間は12時半を過ぎている。
また悪い癖がでたみたいだ。
「次ダメだったら一度戻ろう……」
最近独り言が多いな。
そんなどうでもいいことを考えながら、まだチームが決まってないような人を探す。
「それらしいヤツは……ん?」
俺の視線は1人の男子生徒に止まった。
その人は1人訓練所の隅っこの方で壁に寄りかかって座っていて、購買で買ってきただろうパンを頬張っている。
気付けば俺はその男子生徒の前に立っていた。
「ん?どした?」
学生には珍しい銀髪を揺らして、ソイツは細めの目で俺を見上げる。
「えっと……君って魔法大会のチームに――」
「入ってねぇぞ?」
わざわざ俺の言葉を遮り、ソイツは何食わぬ顔で言い放った。
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