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「ちょっと待ってくれ!」
彼の近くまで来た俺は、これ以上進まないよう肩に手を置いて呼び止めた。
「……何だ?」
不機嫌そうなその声に背筋が凍りついたように寒くなり、思わず手を離す。
振り向いてわかった整った顔立ち。
艶やかな黒髪が揺れ、そいつの目にかかる。
そしてなにより、眼だ。
何事にも興味がないような……冷たい眼。
そんな眼で黒髪の間から俺を見据えている。
「もう一度だけ聞く、僕に何の用だ?」
今まで感じたことのない圧倒的な威圧感。
自分の体重が何倍も重くなったように感じ、手が小刻みに震えているのがわかる。
「俺達の……チームに入ってくれないか……?」
ようやく出せた声はひどくかすれていた。
そんな俺を見て、そいつは嘲笑うように口元を緩めた。
「この僕がお前みたいなヤツのチームに入れだと?冗談じゃない。それにもうチームは決まっている。残念だったな」
まただ……またあの眼だ。
まるで石ころでも見るような……どうでもいいという眼。
「待て!」
気づけば俺はヤツの背中に向かって叫んでいた。
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