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「まだ何かあるのか?」
めんどくさそうに振り向いた顔を見て拳を握りしめ、
「俺と……俺と――」
――勝負しろ!
と、言うつもりだった。
「わあぁぁぁぁぁ!」
この声に遮られなければ……
その声の主は慌てたように俺の口を塞ぎ、
「悪いな、架神。何でもないんだ」
架神と呼ばれたそいつは一瞬眉を寄せるが、次の瞬間には元の表情に戻っていた。
「そうか。高峰、そいつに僕のことを教えてやれ。じゃあな、神城 光輝」
それだけ言うと彼は俺達に背を向けて訓練所を出て行った。
「ふぅ~……」
その瞬間、糸が切れたように嵐が座り込む。
「まったく……お前のせいでヒヤヒヤしたぜ」
「嵐……アイツは……?」
「架神……架神 冬魔(かがみ とうま)よ」
横から聞こえてきたのは嵐のものではない女の声。
「如月……」
いつの間にか隣には如月が立っていた。
「架神 冬魔。
こっちの世界では有名な架神家の人間だ。
A組で……いや、一年生の中で一番強いだろうな」
こっちの世界……魔法を使うヤツらの世界か?
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