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翔もわざと再現をしてくれているのか、さっきと同じ軌道で剣を振るってきた。
俺はそれをしゃがんで躱し、翔の足めがけて横薙ぎに刀を振り返した。
振り返した……はずなんだけど……
刀は空を斬り、後ろから首に何かが当てられる。
「僕の勝ち」
後ろから聞こえてきた翔の声。
振り返らなくてもわかる。
首にあるこれは翔の剣だ。
「……はぁ。負けたよ」
俺は潔く負けを認めた。
この状況から逆転するなんて無理だからな。
首に当てられていた剣が離れたのを確認して立ち上がる。
振り返ると翔が剣の刃をなぞっていた。
「【解】」
刃を茶色のオーラが包み、今度は弾けるように粒子となって消えていく。
たぶん魔法を解いたんだろう。
「【解】」
俺も翔に習って魔法を解く。
俺の刀から出た光も粒子となって消えていった。
「ふぅ……痛っ!」
武器を消して安心すると、脇腹の痛みが襲ってくる。
「あ~、痛い?ゴメンね。本気でやったから」
やっぱり本気だったか。
俺が痛みに唸っていると、終わったのを見計らって宮世達が近寄ってきた。
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