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痣は見る見るうちに消えていき、ものの数秒で腫れと痛みは完全になくなった。
「これで大丈夫なはずです。まだ痛みますか?」
「いや、完璧だ。ありがとな」
俺がお礼を言うと坂上は嬉しそうに微笑む。
その笑顔にドキッとした俺は慌てて別の話題を考えた。
「そういえばさっきの魔法、中級だろ?詠唱破棄ってスゴいな」
一瞬で考えついた話題。
これなら長続きするだろうし、我ながら上出来だ。
「はい。治癒系の魔法は大事ですからすぐに使えるように頑張って練習したんです」
さすが優等生だな。
俺も今度覚えておこう。
「それにしても坂上。こんなヤツに中級魔法はもったいないわよ」
横から口を挟んでくる如月。
他のヤツらと違って話してくれるのは嬉しいんだけど……
その喧嘩口調はどうにかならないのか?
でも、
「残念だったな。光属性に初級の治癒魔法はない」
今回は俺が有利なんだよ。
如月は一瞬……ほんの一瞬だけ驚いたような表情を浮かべた。
いや、あれは悔しい表情かな。
「氷属性にはあるのよ!」
ふ~ん。それで?って感じだ。
どんな屁理屈だよ……
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