大会に向けて

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「でも初級魔法がないわけじゃないんですよ。【治癒】っていう基本中の基本がありますし。まぁかすり傷程度しか治せませんけど」 その話を聞いた如月の表情は一転。 俺に人差し指を突き付けて口を開く。 「ほら、あるじゃないの。アンタなんかその魔法で十分なのよ」 俺は小さくため息をつくと武器を出して如月から距離をとった。 相手をするだけ時間の無駄だ。 「ちょっと!無視?いいわ。ボコボコにしてやるわよ」 今度は怒りだした如月もまた武器を出す。 確か如月の武器って……扇子……だよな。 でもアイツの手にあるのは……鉄扇? とにかく短めの銀色の棒のようなものを持っている。 俺は先の試合のようにあの魔法で武器に光を纏わせた。 これで準備完了だ。 「先手は譲ってあげるわ。来なさい」 「ナメんなよ」 言い切らないうちに全力で駆け出す。 走りながら翔に言われたことを思い出した。 1つめ。動きが単純。 これは翔も経験がどうこう言ってたから後回し。 2つめ。二刀の使い方。 左手も使って隙がないように攻める。 やってみるか。  
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