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途端に吹雪が止んだ。
俺は慌てて目を開くが、さっきまで正面に立っていた如月の姿はない。
今の技は目眩ましか。
こういう場合は大抵……
俺は刀を交差させて後ろに構えた。
一瞬遅れて、耳に届く金属音と手にかかる衝撃。
俺の予想は的中したようだ。
「っ!?アンタまさか気配を読んで……!」
「まぐれだ!」
すぐに答えた。
事実だし変な誤解を招きたくないからな。
しかも背後からなんてベタな……
そんなことを考えていると如月は俺から距離をとった。
足は動かないから首だけ回して後ろを見たんだが……
「おい、如月。何の真似だ?」
「決まってるでしょ。トドメを刺すのよ。確実にね」
如月は鉄扇を俺に向けていた。
待て待てまてマテ!
まだ変な技があるのか?
動けない相手に後ろから攻撃なんて卑怯だろ?
「卑怯だぞ!」
そう口に出して叫んだ。
それでも如月は止める仕種を見せず、
「氷撃の舞」
まるで鍵を開けるかのように鉄扇を回した。
すると如月の目の前の空間に氷が集まり始める。
いや、集まると言うより空気中の水分が凍っているような……
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