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「じゃ、じゃあ行きますね」
おずおずという言葉が正しいように坂上は穴の中に入っていく。
それに続いて歩く俺達。
翔が入ると同時に入口の穴は閉じ、前方に見える出口の光以外暗闇に包まれた。
だが以前と違って今回はみんなの姿がはっきり見える。
真衣さんだからか?
だとしたら修司さんより凄いな。
……学園長だから当たり前か。
「もうすぐ出口です」
顔を横に出して前方を見ると出口はすぐそこ。
距離も修司さんより短い。
そんなことを考えながら俺は出口の穴をくぐった。
「うっ!」
視界が真っ白に染まり、思わず目を瞑る。
懐かしいな。2ヶ月前と同じだ。
ゆっくりと目を開けると視界に飛び込んできたのは緑、緑、緑!
一言で言えば森だった。
「ここは……森?」
辺りを見回しても目に入るのは大きな木といろんな形の草。
木の枝と葉の隙間から射し込む木漏れ日が俺を照らす。
なんだか落ち着くな。
「さて、これからどう――」
《皆さん到着したみたいですね》
突然俺の言葉を遮って上から真衣さんの声が響き渡る。
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