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「それで嵐、その能力とは?」
早く話を終わらせるため、私が嵐に尋ねた。
「手っ取り早く言えば〈透視〉。物を透かして敵を見つけることができるんだ。こんな状況じゃないと使えない能力だけどな」
そう言って嵐は自身の持つライフルのスコープを指差す。
「〈透視〉か。確かにこのサバイバルでは便利な能力ね」
「高峰君らしいですね。エッチです」
「いやいやいや、誤解だよ志乃ちゃん!人には効かないからね?」
「でもその能力で着替えを覗いたりとかしてるんじゃないのか?」
「……ま、まさかぁ」
そう言う嵐の目はせわしなく動いている。
間違いない。この男……
「最低ね」
「最低です」
「最低だな」
「……言わなきゃよかった」
嵐は小さくため息をつくとスコープを覗き込んだ。
その時の表情は今までと違って真剣だ。
間違いない。この男……
『ごまかした』
「うっ……あっ、いたいた。結構離れてるな……ってヤバッ」
「どうしたの?」
「2人共横に逸れてる。しかもその先には敵が8人」
何っ!?それはマズい。
皐月なら兎も角、今の光輝では……
「ホントにやべぇじゃん。俺達も早く行こうぜ。嵐、案内頼む」
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