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最後の抵抗として刀を頭上に構えた時だった。
「【雷花火】」
横から飛んできた何かが塊の中に入り込んだかと思うと、次の瞬間、内側から破裂したように水が飛び散った。
そして何より、今の魔法を放った声は……
「大丈夫か?危機一髪だったな」
間違えるはずがない。彩華だ。
彩華は壁の上から覗き込むように俺を見て口を開く。
「早く出たらどうだ?キミなら余裕だろう?」
俺は頷くと脚に魔力を込めて跳び上がった。
そして軽々と壁を跳び越え地面に着地する。
さっきは水の塊のせいで跳べなかったけどこれぐらいなら余裕でできるようになった。
もはや人間じゃねぇな……。
ここで周りを見てみると、河村は相変わらず嵐の攻撃を防いでいて、残りの2人は宮世と戦っている。
「なぁ彩華、他のみんなは?」
俺が宮世の方を向いたまま尋ねると、
「翔と志乃は皐月の方に向かった。まぁ心配ないとは思うがな」
確かに……っと俺は苦笑した。
たぶん龍牙は嵐の護衛でもしてるんだろう。
「それより、加勢しなくていいのか?」
「唯なら大丈夫だろう。私達は黙って見てればいいさ」
俺は再び苦笑すると、黙って観戦することにした。
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