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「言っただろ?逃げるなって」
そう言う彼は槍を持った腕を真っ直ぐ伸ばしている。
体に槍が刺さって動けないわけじゃない。
槍の先は、俺のハンマーの頭の中心に当てられていた。
それだけでピタリとハンマーが動かなくなる。
恐らく一点による微妙な力の均衡。
こんなこと、狙ってできるものなのか……!?
「次はどうする?それを捨てて魔法でくるか」
無理だ……勝てない……
圧倒的なまでの力の差。
だがコイツは全然本気を出していない。
コイツは……コイツらは本当に同い年なのか?
「……降参だ。お前らみたいな天才には適わないよ」
「……そうかよ。【炎天陣】」
彼が槍を持つ手とは逆の手を上げると、俺の身体を囲うように地面から炎が噴き上がった。
熱い。熱い、熱い。熱い熱い熱い熱い……。
「うあああぁぁぁ!」
「1つ言っておく。お前達は俺を天才と呼ぶがそうじゃねぇ。人の何倍も努力して、人の何倍も失敗して今の俺がいる。俺には勝てないと諦めて努力しようといないお前はいつまで経っても俺には勝てねぇよ」
炎が止んだ。
俺が倒れるのと同時にLCが砕ける。
確かに、俺は逃げてただけだ……。
「リベンジならいつでも受けて立つぜ」
二宮 龍牙……やっぱりキミは天才だよ。
俺は口元を緩めながら白い光に包まれた。
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