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「まぁ嵐君がそう言うなら行ってみましょう」
「ちょっと唯!コイツの言うことを信じるつもり?」
当然、如月が喰いつくわけだが……
「大丈夫ですよ皐月さん。高峰君を信じましょう」
「志乃まで……」
ここまでくると完璧に如月がアウェーだ。
……ん?如月と坂上って名前で呼び合ってたっけ?
この数時間の間に一体何が……?
俺がそんなことを考えている間にも、みんなによる如月の説得は続く。
早く移動したいんじゃなかったのかよ……。
見かねた俺は助け舟を出してやることにした。
もちろんみんなにだ。
「諦めろ如月。行くだけ行ってみればいいじゃねぇか。間違ってたら嵐を煮るなり焼くなり好きにすればいい」
「そ、そうそう。もし何もなければ俺を好きにしていいからさ」
嵐もしっかり乗ってくれた。
ここまで言うからには自信があるんだろう。
如月は少し考える素振りを見せると、
「そう……ね。ちょうど上級魔法を試す相手が欲しかったし、それでいいわ」
清々しいほどの笑顔でそう言いやがった。
一瞬背筋がゾクッとする。
同時に過去の映像が頭をよぎった。
それは龍牙も同じだったようで、俺達は嵐にこう言ってやった。
『嵐、死ぬなよ……』
……と。
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