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「うっ……」
俺はゆっくりと目を開ける。
最初に目に入ったのは黒っぽい緑色の何か。
首を傾げながら少し動くとガサガサと音がする。
よく見たらこれ……葉っぱじゃん。
辺りを見回すと、どうやら俺は折れた枝の下にいるみたいだ。
この葉っぱが俺の姿を隠してくれていたらしい。
だから気を失ってても見つからなかったのか……。
ズキズキとする背中と頭の痛みに耐えながら、俺は枝の下から這い出た。
辺りに人のいる気配はない。
くそっ!今は夢のことよりみんなを探す方が先だ。
木に手をついて立ち上がり歩き出そうとした時、風に乗って誰かの話し声が聞こえてきた。
途切れ途切れでよくわからないけど、この声は……架神?
俺は痛む身体に鞭を打ち、声の聞こえた方向に走り出した。
近付くにつれて声もよく聞こえてくる。
さほど離れた場所じゃなかったため、案外早く着くことができた。
「架神!」
着いて早々視界に映ったのは、黒コートにフードを深く被った人物と刀を敵に向けて構える架神の姿。
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