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架神はチラッと俺を見てから再び敵に視線を戻す。
「もう一度問おう。キミ達の目的はなんだい?」
その問いかけに、敵は低い声で笑う。
「ククッ……ならばこちらももう一度答えよう。お前が知る必要はない」
架神の殺気が増した。
俺の足は震えてるのに、敵は震えることなく余裕の雰囲気を醸し出している。
「そうか……ならば死ね」
そう言うや否や、架神は目にも止まらぬ速さで敵の懐に潜り込み、刀を斬り上げた。
響き渡る硬質音。
敵の手には長剣が握られていて、それが架神の攻撃を受け止めている。
「速いな……。それも兄貴と同じ型とは……」
その呟きを聞いた架神は何故か驚いて口を開いた。
「兄さんを知っているのか!?」
架神の兄貴って確か天才の……。
何で驚いてるんだ?
「よく知ってるぜ。お前の兄貴には毎回世話になってるからな。いつも俺達の邪魔をしやがって」
敵は忌々しそうな声を出して架神を見る。
まるでその憎しみを弟の架神にぶつけてるみたいだ。
「そうか……生きているのか。あの人は」
対する架神は武器を構えることもなく口元を緩めていた。
マジかよ……あの架神が笑ってる……。
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