イレギュラー

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その時、敵が動いた。 少ししかなかった距離を踏み込み、横薙ぎに剣を振るう。 「生きてた……」 架神は何かをブツブツ呟いたまま防ごうとする素振りも見せない。 マズい。このままじゃ! 「架神!」 「だったら……」 再び響く硬質音。 架神は刀を逆手に握り、片手で敵の攻撃を受け止めた。 「だったら……あの人に会うまでは止まるわけにはいかない!」 顔を上げた架神の眼は、以前見たものとあきらかに違う。 敵も架神の纏う雰囲気が変わったことに気が付いたのか、わずかに後退る。 その力が緩んだ一瞬、架神は敵の剣を押し返して反撃に出た。 今までより速く、鋭い斬撃。 敵もそれを受け流してはいるけど攻めに転じようとはしない。 いや、できないんだろう。 架神優勢の状況の中、その光景を眺めていた俺に背後から声が飛んでくる。 「神城!」 振り返ると、爆発が起こる前のメンバーが全員揃っていた。  
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