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少し視野を広げて周りを見てみる。
如月と宮世、翔と嵐、彩華と坂上、その他のヤツら……。
みんなが戦ってるどの敵も武器が糸だ。
「光輝!余所見をするな!」
龍牙の声でハッとして敵に向き直る。
相手はいつの間にか糸を張ったぐらいの強さだ。余所見してる場合じゃない。
「【炎弾】」
龍牙は上空に炎を放つ。
それは武器に伸びる糸に当たり、炎は糸に沿って瞬く間に広がった。
燃えることによってハッキリと見えるようになった糸は、俺達を囲むように張り巡らされている。
炎が広がる前に近付いていたら気付かずに捕まっていただろう。
「バレてしまいましたか」
敵が口を開く。
声からして男だ。それも若い。
「糸なんかで俺達を倒せると思っているのか?」
今度は龍牙が口を開く。
「私達は捕縛のスペシャリスト。だから武器も糸なのです。しかし何も捕まえるだけが糸ではありませんよ」
男が腕を振ると、シュルシュルと何かが伸びる音がする。
恐らく糸だと思うけど俺達を狙ってるわけじゃない。
「あれを見てください」
男は反対の手で太い木を指差す。
俺達は警戒しながらその木に視線を移した。
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