12223人が本棚に入れています
本棚に追加
「学生だからって俺達をナメてたな。まっ、油断してくれてたおかげで楽に勝てたんだけど……。
さて、後はアイツだけか」
そう言って龍牙は少し離れた所に視線を移す。
もちろん視線の先には黒コートの男と戦っている架神。
だけど……何だ……?様子がおかしい。
ギリギリ見える程速かった斬撃が俺でもハッキリ見切れるぐらい遅くなっている。
呼吸も荒いし……まさかアイツ、体力が……!
その時、今まで避けていただけの男が架神の刀を弾き、脇腹に蹴りを叩き込んだ。
動きの鈍くなっていた架神はそれを避けられず、俺達の方に転がってくる。
「架神さんっ!」
「冬魔っ!」
それを見たアイツのチームの男女が架神に駆け寄る。
いろいろと尋ねたいこともあるけど今はそれどころじゃないみたいだ。
「全滅したのか……。使えないヤツらだな。ターゲット1人捕まえられないなんて」
男は俺達を順番に見回すと、最後に膝をついている架神に視線を向けた。
「どうだった?倒せそうで倒せない感覚は。ついつい力が入っちまうだろ?」
「くっ……僕がそんな初歩的なミスを……」
架神の表情がだんだんと険しくなる。
最初から架神をハメるための演技だったのか。
「まぁそれだけじゃないんだけどな」
最初のコメントを投稿しよう!