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それだけじゃない?
「……どういうことだ?」
俺が尋ねたかったことを架神が代弁する。
「お前の周りにかぎりなく薄くした炎の膜を張っておいたんだよ。火属性じゃないお前にとっては体力の低下が激しかっただろ?」
男はフードの下でクククッと声を押し殺して嘲笑う。
あの声、黒コート、そして……火属性。
だんだんと疑惑が確信に変わっていく。
やっぱりコイツはあの時の……。
「そろそろお喋りは終わりだ。さっさとターゲットを捕まえて戻らなきゃいけないんでね」
不意に男が手を翳した。
その手に集中される魔力。
ヤバい!
「【豪爆炎舞】」
一瞬だった。
隕石みたいに炎がたくさん落ちてきたかと思えば、次の瞬間には俺の身体は勢いよく吹っ飛んでいた。
地面に叩き付けられ、痛みでうまく働かない頭を使って自分の身に起きたことを理解する。
警戒していたから直撃こそしなかったものの、足下での爆発はモロにくらってしまった。
爆発で巻き上がった砂塵が徐々に晴れていく。
それによって見えてきたみんなの姿。
みんなも俺と同じように地面に転がっている。
そんな中、ただ1人だけ何事もなく立っている者がいた。
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